禾/kokumono

禾/kokumono

天然麹菌×自然栽培で仕込んだ『米みそ自然』の原料は、以前のブログで紹介した蒜山耕藝さんの自然栽培×在来種(山陰の在来種”亀治”)と、今回紹介させて頂く禾/kokumono さんの自然栽培大豆を元に仕込んでいます。

お米も作られている。禾/kokumono のこんちゃん


この禾さんが作られている大豆は変な雑味が無く、大豆本来の香りや旨味と甘味も強く、同じ蒜山の産地だけあり、蒜山耕藝さんのお米との相性がいい。何より当店の天然麹菌の一部は蒜山耕藝さんのお米を元にして採取しているので、同じ蒜山の大豆とは相性が良くなる。またそれが氷ノ山の天然水と沖縄の海水塩と重なりあって、より美味しく仕上がっている。

無肥料・無農薬の自然栽培大豆


そもそも自然栽培の大豆というのは作られている農家さんが極めて少ない。国産の大豆ですら少ないのに、自然栽培の大豆はほとんど市場に出回らない。そんな大豆がないと、味噌や醤油は出来ない。日本がずっと受け継いできた食を残す為には大豆についてもっと考える必要がある。僕たちも自ら大豆を自然栽培(手植え、手刈り)をしているので、大変さはよくわかる。同年代の農家さんで大豆を作られている禾さんが近くにいることはとても心強い。

旨味と甘味がぎゅっと詰まった自然栽培大豆

禾さんは蒜山耕藝さんで研修され、2019年に独立されて、若いご夫婦でされています。仕事以外でも家族の付き合いをさせてもらっていて、そんな禾さんからはいつも刺激をもらっています。

当店の『米みそ自然』は蒜山の素敵な農家さんによって造られている特別な味噌になります。蒜山耕藝さんのお米や、禾さんが作られる大豆も毎年一瞬で売り切れてしまいます。それを僕たちの味噌造りに使わせてもらっているのでうれしく思います。

田んぼも見させてもらったが、自分の圃場の話が止まらない。圃場への愛情を感じされられた。

また来年以降には自然栽培の大麦を作ってもらう予定になっています。蒜山の清らかさ自然と禾さんのお人柄から産まれる大麦が楽しみで仕方ありません。

近くの小川でお米を発芽させている


また禾さんとは去年から一緒に新しい企画をしていて、これも出来次第報告させて頂きます。

禾のホームページも是非ご覧になってください。おそらく食べ物はsold outですが、禾さんの考え方や想いが伝わります。

藤田和俊 フォトグラファー、ライター

藤田さん

鳥取に素敵な人たちに出会えたことが何よりの喜びだ。そんな人たちを少しずつ紹介していきたい。

最初に出会ったときの藤田さんは僕は何者なのかわからなかった。
鳥取に移住して約1ヶ月経ったくらいの時だっただろうか。まだまだ生活に慣れていなく、右も左もわからない中、藤田さんはいきなり家を訪ねてきた。しかも何のアポもなく、いきなり来た。その腕には新聞記者であろう名札がついていて、話を聞かせて欲しいと言われた。どこでどう僕たちの事を知って嗅ぎ付けてきたのだろうか。普通なら不甲斐な気持ちになるところだが、藤田さんの無邪気な笑顔のおかげでそんな気持ちは一瞬で無くなった。取材で来た人ではなく、ずっと前からの友人が会いにきたような感覚だった。今思えば、藤田さんが僕たちが鳥取に来て、一番最初に声をかけてくれた人だ。

鳥取に来て、多くの取材を受けてきた。個人的には取材は好きではないので断りたいが、当初の肩書きは若桜町役場の臨時職員(地域おこし協力隊)だったので、断れなかった。やりたくない取材を受けては、ありきたりの質問に、ありきたりな返答をしていた。中には味噌のこと、菌のこと、山のこと、深く話したこともあったがその内容は記事にされない。みんながわかりやすい内容や言葉だけが表現され、その言葉たちが一人歩きしている状態。僕たちが移住してからは常について回る『移住』という言葉が、僕たちの生き方の本質を隠していた。メディアを通して僕たちのことを知ってもらいたいわけではないが、地方の良さはみんなが共通することではないので、ありきたりな伝え方に違和感しか無かった。何より不自然な言葉を話さざるを得ない自分が嫌だった。

今井出版さんより2月下旬に発売される『ゆたかさのしてん』という本の表紙。著者の日本財団の木田さんと今回の藤田さんが作られた本。僕も紹介されている

そんな中、藤田さんは違った。同じ目線、視点で僕たちを見てくれて、恐る恐る菌のことを話すと目を輝かせて喜んでくれた。

藤田さんは僕たちのような小さな商いをしている人たちをちゃんと視てくれて言葉にして写真にしてくれる。その人たちは地域を支えていて、魅力的な人たちだ。是非藤田さんの
作られたページhttps://myaku-myaku.com/をみてもらいたい。そこで紹介されている人たちの生き方を見て、今の時代に何が大切で大事なのか、見えてくるかもしれない。

特別なお米 蒜山耕藝さんの自然栽培米亀治

蒜山耕藝さんのお米

特別なお米
蒜山耕藝さんの自然栽培米亀治

当店は小さいながら数多くのお味噌を造っている。味噌の種類だけで約20種類あります。効率だけを考えると商品数を減らして、2~3種類を製造するのが味噌屋の常識で、その方が原料の仕入れも楽で価格的にも抑えれます。ただ僕は味の単一化は技術の低下につながるのはもちろんで、『農』の低下にも繋がると思っています。それぞれの農家さんが作る原料には特色があって、それを食べてみると味噌のイメージがわく。その個性を最大限に生かしたお味噌を造りたいと思うので、農家さんの数だけ味噌の種類も増えてしまうのだ。大規模農家が数件いるより、小規模農家がたくさんいる方が大事で、種や農法の存続にもつながり、その地域やその人にしか出せない味があるので、それこそが食の豊かさに繋がると思っています。

蒜山の田んぼ

ネットの中には存在しない、小さな農家さんはたくさんいて、また彼らの作る作物は少量でありながら品質も高く、とても美味しいものばかり。僕はこの若桜町の環境と、原料を作ってくれる農家さんに恵まれていて今の仕事ができています。

蒜山には若者がどんどん集まっている。畑を囲む彼らは頼もしい

その中でも特に思い入れが強く、愛してやまないお米が岡山・蒜山の蒜山耕藝さんが作ってくれるお米だ。その中で特に僕が好きなのが『亀治』という品種のお米。島根県安来の在来種で山陰の気候風土に合ったお米で、山陰の地域に馴染みやすい。当店の天然麹菌もこの亀治を元にして採取している。山陰の在来種だけあって、この地域に住む天然麹菌にとったら一番身近に感じるのかもしれない。


このお米に出会い食べてみてお味噌を作りたいと思い、そして出来上がったのが『米みそ自然』だ。まだまだ市場には少ない自然栽培×野生麹菌で仕込んだお味噌で、亀治の味わいと野生麹菌が醸し出す独特の風味が合って、とても美味しいお味噌に仕上がっている。あくまでも主観なので万人に美味しいかはわからないが、僕が今出せる自信作はこの米みそ自然だと胸を張れる。それは自然栽培だからこの味が出せるということではなく、蒜山耕藝さんが作るお米でないとこの味が出せないのだ。


自然栽培の原料は探せば他にもいるが、この『味』を出せるのは彼らしかいなくて、この人たちに出会えて僕の作っていきたい味噌や自分のしたいことがはっきりとわかる気がした。それに天然麹菌取り組むきっかけや、出会えたのも蒜山耕藝さんのおかげだ。

蒜山耕藝さんお米は毎年販売開始と同時に即完売になる。それだけ多くの方が蒜山耕藝さんのお米を愛してやまないことを他人ながらうれしく思う。だからこそ、米みそ自然は造れる量に限界があるが、僕はそれでいいと思っている。原料を変えてまでたくさん造ることに意味はない。僕がお米を食べて色んな景色が見えるようになったように、このお味噌を通して農家さんの思いや味噌の美味しさ、野生麹菌の魅力を伝えていけたらと思う。