自然醸造

自然醸造の定義 

味噌の造り方は大きくわけて2種類あります。温度を加えて熟成のサイクルを早める『速醸』と、自然の温度に任せてゆっくりと熟成させる『天然醸造』という造り方があります。後者の天然醸造こそが味噌本来の造り方ですが、天然醸造で出来たお味噌にアルコールなどを添加したり、温度を加えたりと、酵母や酵素の動きを止めている味噌が市場のほとんどです。
ここまで菌と人とのバランスが崩れているのは、長い味噌の歴史の中ではじめての出来事です。商業目的に沿った人の技術で出来た味噌に菌たちはどんな想いでしょうか。自然界にいる天然麹菌の力で味噌に変えて行くには、自然醸造というやり方以外は無いと思っています。

当店は『自然醸造』という造り方に全商品を移行しつつあります。自然醸造というのは当店独自の定義で使わせてもらっている言葉です。
それは
①天然麹菌 (自然界から採取した天然菌)
②天然醸造 (自然の温度で1年以上熟成)
③無添加
④非加熱
⑤天然水の使用

以上の造り方をするものに対して自然醸造という言葉を用いています。今年の冬に販売予定の『米みそ自然』はこれに該当します。今までの味噌は①の天然麹菌以外には該当しますが、それでは自然醸造とは言えません。
今年は菌たちと仲良くなれたこともあり、色々な角度から天然麹菌の採取が出来そうなので、この夏あたりの仕込みから数種類の味噌を自然醸造に移行していく予定です。

自然が醸すお味噌を、多くの方に届けたいと思っています。

自然が醸す、無添加非加熱の味噌
藤原みそこうじ店

天然麹菌と自然

天然麹菌と自然

最近、天然麹菌の事が頭から離れない。
畑仕事、食事、夢の中でも、ずっと彼らの事が気になってしまう。なぜだろうと考えていて、ふと気づかされた。実は彼らは常に僕の回りに存在している。僕自身が彼らに興味を持ち、それらを何とか具現化できないか考えれば、彼らはそれに応じようと僕に働きかけてくれているのでは、と思い始めた。
現に、今はまだ研究段階で公には言えないが、天然麹菌の採取の方法が今行っているお米に降りてくるやり方以外にもあることがわかった。自然が澄んでいる場所に、彼らは身近に存在することがわかった。目に見えない彼らを意識することで、目に見える自然物がより尊くなる。自然界全て愛しくなり、自然界そのものが天然麹菌を産み出している。

   

山の湧水 やわらかい甘さとほのかにする苔の薫りが本来の湧水

天然麹菌とは自然そのもの

 僕が大学を卒業して、初めて味噌造りを目の当たりしたときに感じた『麹』への好奇心と興奮が今も続いていて、エスカレートしていく。生涯の熱量を捧げてもいいと彼らは思わせてくれた。彼らの為に、これから何ができるか、彼らとともに何がしたいか、考えることが山ほどある。残りの人生、彼らとどこまで仲良くなれるか、考えてみたい。

自然が醸す、無添加非加熱の味噌
藤原みそこうじ店

天然麹菌の季節

蒜山耕藝さんの自然栽培米に降りてきてくれた天然麹菌

天然麹菌の季節到来

暖かくなってきました。
現代の麹造り、味噌造り、酒造り、どれをとっても仕込むのは冬が定番になっています。それは人の都合によって冬場になっています。米や大豆の収穫が終わった後、農閑期、寒いおかげで失敗しにくいなど、どれも人の目線に沿って行われます。
しかし、昨年から天然麹菌を採取して思ったのは、麹造りに最も適しているのは夏場なのではないかということ。天然麹菌は夏場にしか採取できません。今は冷凍庫などの保存機器が整っていますが、昔にそんなものはなく、また容器なども発達していません。そう考えると夏場にも活発に仕込みをしていたのかもしれません。うちの基準として、菌や酵母などの微生物はどうしたら喜ぶかと気持ちを探っています。微生物の気持ちを考えると夏場に米を醸したいはずです。今年の夏はどんな糀に仕上がるか楽しみです。

自然に寄り添い、自然が醸す、そんな想いで今年も天然麹菌の採取に取りかかっています。去年同様にうまいこと降りてきてくれたらいいなあと念じます。それもこの若桜の自然のおかげです。自然に感謝して、自然に付加をかけないよう、日々を暮らしていきたいと思います。

自然が醸す、無添加非加熱の味噌
藤原みそこうじ店