天然麹菌にとって夏とは

天然麹菌にとって夏とは

若桜町の夏

某味噌屋さんのページを見ていると、天然麹菌の採取は7月に入って1週間以上30℃を超す日に採取できると書いてある。
その言葉を信じて、夏場は特に天然麹菌の採取に心を踊らせている。しかし、去年から夏場の採取には手こずっている。それは今年も同様で、なぜか夏場では思うように採取できない。
天然麹菌の採取には気温と湿度が関係している。夏場は気温こそは高いが湿度が低くなる。僕は温度よりも湿度の方が重要なのではと思っている。今までの経験上、天然麹菌の最も多く降りてきてくれる時期は6月と9月下旬から10月上旬にかけて。気温はそこまで必要ないのだ。気温が30℃以上なくても、22~23℃あれば充分繁殖してくれる。問題は湿度。いくら温度が整っていても60%を切るとお米の水分が乾燥して、エサとして認識してもらえなくなる。エサとして認識してくれたとしても子孫を残す為の菌糸が張れない。おそらく天然麹菌も地域性によって、それぞれの好みや生態性に違いがあるのかもしれない。
僕が住んでいる鳥取県若桜町は山陰の山際にある集落で、雨も多く、住んでいる人はどの季節も湿気とカビに 悩まされている。その環境に適応してきた天然麹菌だからこそ夏場の湿気が少ない時期には元気がないのかもしれない。
僕は以前にブログで『天然麹菌は夏の産物だ。』みたいなことを言ったけど、正確には梅雨か初秋みたいだ。天然麹菌が採取できると思い込んでいたから今年の夏は暑くても平気!と言い聞かせてきたけど、採取しにくいとわかってくると、余計に暑く感じる。

そもそも湿度だけが問題ではないのかもしれない。8月の頭に蒜山耕藝さんにお邪魔した際に『天然麹菌はどうですか?』と言われて『実は中々降りて来てくれないんです』と答えたら、ヘリコプターの農薬散布の話になった。田んぼの上だけに撒いたつもりでも、自然界においては広範囲において空気中に被害が被っている。それが天然麹菌の採取に影響しているのでは、という話になった。僕もこれについては疑問を抱いていただけに共感できた。人が思っている以上に、生き物にとって農薬のダメージはでかいのかもしれない。それは天然麹菌が教えてくれる。

これから天然麹菌を考えて、共存していく上で今回の農薬のことも含めて、農業は切っても切り離せないと日々強く思うようになった。菌目線での農業をする為には農薬を使わない自然栽培に取り組まないといけない。菌のための菌による循環型農業がこれからは必要になってくる。
近くにはそのような田んぼは存在しない。
その為にはどうやら自分がやらないといけないようだ。来年から新しい取り組みをしようとしている。

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