ヤブツルアズキ

ヤブツルアズキ

ヤブツルアズキという名の豆を皆さんは知っていますか?
日本に古来からある小豆の野生種で、人との付き合いは縄文時代まで遡ります。近年の調査によると縄文時代の遺跡からヤブツルアズキが発見されているそうです。日本人と昔から繋がれてきたヤブツルアズキですが、僕は最近知った。

水で洗った後のヤブツルアズキ。知らなかったら小豆といよりも小石に見える。硬さは石そのもの


いつもお味噌を取り扱ってもらっている神奈川県の量り売り専門店『ふたは』さんから教えてもらった。ふたはさんからは素敵な農家さんや穀物の古い品種などを教えてもらい、いつも勉強させてもらっている。
そんなふたはさんから教えてもらったヤブツルアズキに僕はとても魅了されている。
普通の小豆に比べてとにかく硬い。品種改良されずにひたすら野生で繁栄したヤブツルアズキには、風格さえ感じた。小さくて硬い、それはそれは扱いにくいけど、あんこにして食べたときの感動が忘れられない。甘すぎず、主張しすぎず、それでも余韻に浸るようなやわらかい甘さ、いつまでも食べれるような癖の無さはとりこになる。

そんなヤブツルアズキをふたはさんと話し合い、味噌にすることにした。ヤブツルアズキの魅力を表現するためにヤブツルアズキと塩と山の水だけで仕込むことにした。

蒸した後。やっと小豆のような色合いになってきた。ほくほくして優しい甘さがあり、とても美味しい

水に浸ける時間も長くした。
蒸しも通常の大豆に比べて、圧力を強くし、時間も長めにした。それでも硬さは取れなかったが、ヤブツルアズキを良さを表現したかったので、あえて固めで種付けする。もちろん菌は野生菌だ。野生種×野生菌でどう変化するのか楽しみ。

熱が中々冷めない
種付けして24時間後。少しずつだか菌糸が張ってきた。それでも表面の皮が硬いせいか、豆同士はくっつかない

芯が硬いせいか、菌が中々繁殖しなかった。それでも時間の経過と共に少しずつ菌糸もはってきて、目に見えないところでヤブツルアズキと野生菌が一体となりつつあるのを感じた。

48時間後。良い感じに胞子も出してくれた。ヤブツルアズキの香りと野生菌の匂いが重なって、安らかな気持ちになる

無事に麹に仕上がった。
とにかく硬かったのでミンチに通さず、粒のまま熟成させることにした。味噌になるのは3年後だが、今から楽しみだ。何でもすぐに結果がわかってしまう世界だが、時間をかけることの楽しさもある。なぜなら、この3年間は毎日ヤブツルアズキの味噌と時間を共有できるからだ。資本主義では計ることは出来ない魅力がこの菌との時間(対話)だと思う。
そんなお味噌たちに囲まれて、とても幸せだ。

“ヤブツルアズキ” への2件の返信

  1. ヤブツルアズキ!昨年集落で見つけて今年もそこで育っていて 我が家にも一株

    あんこに!味噌に!凄い凄い
    何だか嬉しくなりました
    我が家は山の水 おまけに硬水で毎年の味噌はどうしても固く豆感満載の味噌になります
    ヤブツルアズキ のあんこ、味噌 幻ですね
    でも 本当に何だか嬉しい気持ちになりました ありがとうございました

    1. 谷口さま

      いつもお世話になっております。
      コメントありがとうございます。
      ヤブツルアズキご存知なんですね。野生種なので、山の中を歩いていると出会うこともあるそうですよ。
      あんこにしたらとても美味しかったです。
      ヤブツルアズキのお味噌、とても楽しみです!たくさん作れるようになったら、ヤブツルアズキのお味噌も谷口さんにも味わってもらいたいですね。

      硬水の水もおもしろいですね。山によっては軟水、硬水と様々なので、それぞれの良さもあると思います。
      お味噌はその土地の魅力がそのまま表現されると思うので、それを楽しむのが一番だと思います。

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