自然とは不安定なもの
天然麹菌から見える、自然界の不安定
何が原因なのかわからないが、今年は天然麹菌の採取に少し苦労している。採取できないということは、それはどこかで異変が起きていることを意味する。それが原料なのか、水なのか、空気なのか、それとも僕自身が嫌わる何かをしてしまったのか、それは見えない菌たちが何かを訴えかけてくれている証拠。それに僕は気づいてあげないといけない。
全く採取できていないわけではなく、ただもっと降りてきてくれてもいいだろうという僕の願望だ。菌たちにとったら、これくらい醸せれば十分だと思っているのかもしれない。
今の社会はあまりにも人間目線で成り立っていて、人は皆、安定を求めている。その安定さに慣れてしまうと臨機応変が出来ない頭になってしまう。また、その安定にのおかげで本質が見えにくくなる。
例えば、僕の仕事である味噌造りに置いてもそれが言えて、特に顕著に表れるのが麹造りだ。市販の麹菌を買えば、ある程度知識があれば麹は作れる。この『作れる』というのは、あくまでも普通の麹ができるというもので、麹の良し悪しはピンきりなので、プロの麹にははるか及ばない。市販の麹菌でも職人さん程の麹を作ろうと思えば、長年の経験と知識が必要だ。
それでも麹菌と知識さえあれば、さほど難しいものではない。それはなぜかというと市販の麹菌は化学的に培養されて、とても優秀な菌だけで成り立っている。とても「安定」しているからだ。なので、教科書通りにしていれば作れる。一定の時間が経過したら発熱して……というのがわかるし、それ通りに行くからだ。
しかし、天然麹菌はそうはいかない。今までの教科書通りに経過してくれない。違う日に採取した天然麹菌もまた違う経過を見せる。ここで必要なのは、知識ではなく、感じて菌に寄り添うこと。市販の麹菌は安定した成長を見せるので、何時間も目を離していてもある程度大丈夫。ほっておいても彼らの力で成長が進む。でも天然麹菌はつきっきりで見ておかないと、すぐに愛想を尽かせてしまう。天然麹菌には、それぞれに個性があるので、それを察してあげないといけない。
この不安定さこそが自然そのものだと思い始めた。安定を求めれば求めるほど、自然から離れていくのだ。
予期せぬことが起こりうる今後の地球上の出来事に、うまいこと対応していきたいと思う。そのヒントは天然麹菌が教えてくれるだろう。
自然が醸す、無添加非加熱の味噌
藤原みそこうじ店
弁天娘の飲みきり会でとっても美味しい藤原さんの味噌を頂いた事のある広島はせべの中段と申します!
天然麹凄く興味深いです!
ブログの更新楽しみにしています!
中段陽介さま
その節はお世話になりありがとうございました。
またブログへのコメントもありがとうございます。
あの時は天然菌に試行錯誤の最中で、試食にお出しすることは出来ませんでしたが、また天然麹菌で仕込んだ味噌が出来上がったらお味見してみてください。自然が醸す、自然醸造の味噌造りに邁進していきたいと思います。コツコツではありますが、更新していきたいと思いますので、引き続き宜しくお願い致します!